強くなることは、備えること──筋トレとがん治療の意外な関係
先日、テレビで「筋トレががん治療に役立つ可能性がある」という特集を観ました。パーソナルトレーナーをしている自分としては、すごく気になる内容でした。
番組では、筋肉から分泌される「マイオカイン」という物質に注目していました。あまり聞き慣れない名前かもしれませんが、マイオカイン(myokine)とは、筋肉(骨格筋)から分泌される生理活性物質の総称です。
運動によって筋肉が収縮する際に分泌され、全身の臓器や組織に様々な良い影響を与えることが分かっています。
マイオカインには主に以下のような作用があります。
•抗炎症作用:慢性炎症はがんの進行や発生に関与しているとされており、マイオカイン はそれを抑える働きを持ちます。
•免疫細胞の活性化:ナチュラルキラー(NK)細胞などの免疫細胞を活性化させ、がん細胞を攻撃する力を高めます。
•がん細胞の増殖抑制:マイオカインの中には、がん細胞の増殖を直接抑制したり、アポトーシス(自然死)を誘導するものもあります。
そういったことから医療の現場でも少しずつ注目され始めているとのことでした。
また、がんの治療中は体力が落ちたり、気持ちが沈みがちになります。
そんな中で、無理のない範囲で軽く体を動かすことが、筋力の維持や気分の安定にもつながると紹介されていました。実際に、治療と並行して運動を取り入れている患者さんの事例も出ていて、「筋トレ=病気と戦うための力を育てる手段」として考えるのは、とても前向きだなと感じました。
もちろん、体調によっては運動が難しい時もあると思いますし、すべての人に当てはまるわけではありません。でも「鍛えることで、少しでも自分の体を味方につける」という発想には、大きな可能性があると感じました。
「健康な今だからこそ、未来に備えて体を整える」
それが、万が一のときにも前を向く力につながるかもしれない。そう考えると、毎日のトレーニングにもまた違った意味が見えてきます。
今日もコツコツと体を動かしながら、「未来に備えて強い自分」を育てていきたい。
そんな思いでこの文章を書いています。